音楽好きな皆さんのための webで学ぶ楽しい音楽音響学です。取り上げてほしいテーマがありましたら、お問い合わせフォームからリクエストして下さい。なお、実地で学ぶセッション&ワークショップとも連携します。

番外編 ① 防音室の役割とは

 

studio acoutis も一種の防音室ですが、人によって様々な名前で呼んでいただいています。スタジオ、防音室、音楽室...などは、一般的な呼び方ですが、遮音室、レッスン室、リハーサル室、録音室...といった呼び方もあります。

 

こういった部屋の呼び方は様々でも、その目的は大きく「2つ」あります。

それは
①音を遮って近所迷惑にならないようにする(遮音室)
②良い音で響かせる(音楽室)。
ところが、この2つを両立させることは簡単ではありません

 

そこで、通常は「近所に迷惑をかけない」ことがより重要なので、防音室であることを重視し、遮音性能を優先します。
その場合、部屋の構造材に遮音材を使うだけでなく、内装材に吸音性の高い素材をたっぷりと使います。有孔板、吸音ボード、厚手のカーテン、カーペット…
音をなるべく吸収してしまうことで、外に漏れる音も小さくなるからです。そして、こうした部屋の音は、とても大人しく落ち着いています。所謂デッドな音。音楽の細部まで良く聴こえてきますので、レッスンに最適。後で好みに応じて必要な残響を付けたいレコーディングにも、こういった部屋が適しています。

 

しかしコンサートホールのようなライブ感、臨場感を重視したい場合には、こういったデッドな部屋は物足りなく感じてしまうでしょう。少なくとも室内の6面ある壁面の2~3面は、反射性の強い素材を使って綺麗な残響を演出したいものです。特にフロアは、楽器と一体となって振動しますので、美しく響くことが楽器にとっても重要となります。
ただし、このようなライブな部屋は、室内で楽器の音が生き生きと響いてしまうことで、部屋を構成する遮音材への負担が大きくなり、防音室としては、とても不利に状況となってしまいます。

 

音を綺麗に響かせながら遮音性能も確保することは、とても難しいことなのです。